近い将来、実用化される自動車の自動運転システム。運転に必要なことはシステムがすべて行う”完全運転自動化”になるまでのステップ(SAEレベル)について、またその実用化の時期や効果など詳しく解説。自動運転システムが導入されれば何か良くなるのか?などをお伝えしましょう。
目次
自動運転システムとは?
ヒトが運転するよりもはるかに安全でスムーズになる、、と言われている”自動運転システム”。
この自動運転システムは、日本だけでなく多くの国や団体が考えていて、昨年2017年には定義がバラバラだったのを日本はアメリカに合わせました。
といっても、大筋は同じような内容で大きな変更はありません。
日本の新しい定義は、アメリカのSAE International(国際的な自動車,航空機などの技術的な専門家グループ)の基準”J3016”を指標にしたもの。
今回は最新の定義を分かりやすく説明していこうと思います。
この自動運転システム、指標は6つの段階があって完全に運転が自動化するまでにステップを踏んで実用化していきます。
一気に自動化になるのではなく、徐々に進んでいくのはいい方法ですね。
すでに、自動運転システムのハシリの機能は各メーカに採用されてきていますよ。
次のパートで説明していきましょう。
自動運転システムのレベルについて
自動運転システムには0~5までの6つのレベルがあり、0から順に進化して5が無条件にシステムが運転をしてくれる完全運転自動化になります。
自動運転システムSAEレベル0について
運転の自動化はないということで、安全に運転するのはすべてドライバーのヒトということです。
今までの多くがクルマがこのレベルですね。
自動運転システムSAEレベル1について
運転をサポートするかたちで、アクセル(加速)、ハンドル操作(操舵)、ブレーキ(制動)のいずれかをシステムが行うのがSAEレベル1です。
運転の主体者や安全運転に注意していくのはドライバー。ようは運転の責任はシステムではなくヒトになります。
すでに、トヨタや日産、マツダなど各メーカーが取り入れていますね。
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例えば前のクルマとの距離を適切に保ちながら同じ車線内でついて走るや、白線を検知してはみ出さないように走るなどがこのレベルに当てはまります。
自動運転システムSAEレベル2について
アクセル(加速)、ハンドル操作(操舵)、ブレーキ(制動)のうち、複数をシステムが行います。
SAEレベル1が単独での動作だったのに比べ、複合型に進化して部分的に運転自動化に。
運転主体、安全運転に注意を払うのはドライバー。
SAEレベル1~2まではヒトが責任をもって運転する、、、となります。
SAEレベル2は、日産でいうところの”プロパイロット”に。
出典:日産Webサイト
自動運転システムSAEレベル3について
SAEレベル3はSAEレベル2が高度化します。
アクセル(加速)、ハンドル操作(操舵)、ブレーキ(制動)について、システムがすべて行うのが基本。ドライバーはシステムが要請した時のみ対応すればよいだけになります。
このSAEレベル3の市販モデルには、一定の条件、たとえば高速道路上では完全にシステムが運転を行い、システムの要請があった時のみドライバーの出番がある、、という格好になります。
ここまで来るとドライバーの負担は軽くなりますね。
ただし、何かがあってシステムから運転を引き継いで行うこともあるということです。
もちろんドライバーはお酒は飲めませんし、常にある程度の緊張感を持ち続けることになります。ちょっと中途半端な気もしますね~
このSAEレベル3からは運転の主体者、安全運転を見守るのはシステムであり、システムからの要請でヒトが運転を任されたときはヒトが責任を負うことになります。
半々ってことですね。
出典:You Tube
自動運転システムSAEレベル4について
アクセル(加速)、ハンドル操作(操舵)、ブレーキ(制動)はすべてをシステムが行い、ドライバーは全く関わらない高度運転自動化の段階です。
ただし走行の環境が整っている・・例えば天候や道路事情がクルマが走るのに適している環境の時という限定した条件付きで、、です。
自動運転システムSAEレベル5について
SAEレベル4の条件を、無条件にしたのがSAEレベル5です。
完全運転自動化で、限定条件を外しどんな環境下でもシステムが安全に運転してくれます。
ここまで来るとまだ想像の域を超えてしまいます。ワクワクしますが心配でドキドキもしていまいそうです。
自動運転システムは何がいいの?効果は?
国とメーカー、官民が協力して自動運転システムを推進していますが、これが普及すると何がいいのでしょうか?
国と様々な組織、官民が一緒に考えて打ち出している”官民 ITS 構想・ロードマップ”から、私なりに感じたことを抜粋して紹介したいと思います。
事故が起きる9割以上はドライバーに原因。これをシステムが安全かつスムーズに運転を行うことで交通事故死亡者を現在の年間4000件から2500件に減らすことができる・・という想定です。
ドライバーがとる車間距離、加速・減速が適切でないことで起こる渋滞。
システムが運転するとそれぞれを適正化に。渋滞によって起こっていた経済的な損害や時間のムダ、沿道の環境悪化が緩和・解消されますね。
地方などでの高齢者が移動手段を確保するために、ずっと運転をせざるを得ない、、、という形で高齢者ドライバーが増加していますね。
運転に必要な判断力や瞬発性がどうしても低くなっているので、未然に事故を防ぐためにも運転免許を返納することを推奨していますが、クルマがないと不便な地域では手放すことが難しい、、、
そんななか高齢者が起こす事故が後を絶ちません。
自動運転搭載のクルマがあれば、高齢者がどうしてもクルマを運転することはなく、安心して移動ができますね。
少子化による人手不足は深刻です。
自動運転があればドライバーの代わりにモノを運んでくれたり、運転者の負担が減ることでトラック運転手を求職する可能性がでてくるかも。
自動運転システムはいつから?
安全で快適な道路交通社会、これを目指しての自動運転搭載車はいつから市販されるのでしょうか。
今言われているのは、2020年までにトヨタ、ホンダ、スバルはSAEレベル3(アクセル、ハンドル操作、ブレーキを高速道路での条件下でシステムが行う)の実用化に向かっているそうですよ。
へぇ~すごい!と思ったんですが、どうやら高速道路に加え走行は60km/h以下、同一の車線走行の条件がプラスされているそうで。
高速道路で60km/h以下っていうのもどうなのか・・・と思うのは私だけでしょうかね。
次に日産は1歩進んでいて、2020年にはレベル4を投入予定。
そして2025年までにはほぼどのメーカーもレベル4のモデルを持ち、2045年には道路を走るクルマの75%が完全な自動運転車になるとの予測もあるようです。
出典:You Tube
安全はいいんだけど、私は運転する楽しさは残したいなぁと思いますね。
自動運転システムと”サポカ”ーについて
自動運転システムを段階的に世の中に浸透させることとあわせて、2020年までに世界一安全な道路交通社会を作ることを官民で目標にしている日本。
そんななか、自動運転システム普及まで待てない!と言わんばかりに、2017年4月より自動ブレーキを搭載したクルマ”安全運転サポート車”を高齢者の事故防止対策として打ち出しました。
いわゆる”サポカー”のことです。
**サポカー、サポカーSのくわしい解説記事**
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私のなかではサポカーは急に出てきた感がありましたけどね~
メーカー間でバラバラだった安全性能を自動ブレーキについて統一メジャーを作って分かりやすくしたんだなって思ってました。
もちろんこの通りなんですが、かたや自動運転システムが普及するまでのステップのひとつだったとも言えますね。
なるほどです!
自動運転のまとめ
話題の自動運転システムについて説明してみました。いかがでしたか?
まだまだ先の話し、、、と思っていましたが、あと数年のオリンピックイヤー2020年にはSAEレベル4のほぼ自動運転システムのモデルが市販される予定です。
また、自動運転システム搭載のクルマに仮にすべてのクルマが入れ替わるとすれば、最短でも買い替えサイクルの7~8年はかかります。
その他、一説によると今の自動車保有台数が8000万台で、毎年の新車販売が500万台。この数字を単純に計算すると約15年でひとまわりして入れ替わります。
ただすべてのクルマに自動運転システムが搭載されていても、私の様に運転が好き!って人は自身がドライバーでいたいですよね。
今回このテーマで思ったのは、”運転を移動のための手段”としてだけ考えているので、ワクワク感がいまひとつ私には来なかったこと。
これってやぱり運転好きには響かないんでしょうね 笑
ただし、安全で環境にもよくて、高齢者、少子化にも一石を投じる勢いですし、日本経済の活性化にもなりますから素晴らしいことです!
また、人工知能のAIも自動運転システムには欠かせないところです。
いろんな産業が関わるし、多方面で期待が大きい自動運転ですね。